メラニン色素沈着
原因や治療法、その他の鑑別を要する病気
					前歯の歯肉や下唇にホクロのような薄黒いものができています。痛みとかはありませんが、見た目が悪く気になります。これは何でしょうか?
メラニン色素沈着とういう症状です。今回はその原因や治療法、その他の鑑別を要する病気を示します。
原因
					皮膚の日焼けと同じメカニズムです。皮膚であれば紫外線の刺激でメラノサイトという細胞が活性化されて皮膚が黒くなります。
口腔内ではメラノサイトが喫煙(タバコのニコチン)などの刺激を受けて活性化されメラニン色素が増え歯肉に沈着し黒くなります。メラニン色素沈着の原因を以下に示します。
				
				
				- 1.
 - 喫煙(タバコのニコチン)
受動喫煙(小児の歯肉) - 2.
 - 日焼け
 - 3.
 - 口呼吸
 - 4.
 - 頭髪の色(黒の強さ)
 - 5.
 - 加齢
 - 6.
 - ストレス
 - 7.
 - 上記原因の複合
 


治療法
					このメラニン色素沈着は症状であり病気ではありませんので特に処置の必要はありません。審美的に気になるようであれば処置が必要となります。
治療法としては、切除術、レーザー治療、フェノールアルコールによる脱色等あります。
				
			切除術
					メスによる切除とレーザーによる切除があります。利点としては1日で処置が終了し、病理検査ができるので確実な診断が可能です。欠点としては麻酔が必要でメスによる切除であれば縫合し後日抜糸が必要となります。
				
				
術前
レーザー切除術後
術後レーザー治療
					レーザーにより組織を蒸散させます。利点として麻酔を必要としません。欠点として色が確実に消失するまで数回行う場合があり、組織を摘出しませんので病理検査ができません。
				
				
術前
術中
術後フェノールアルコールによる脱色
					メラニン沈着歯肉にフェノールアルコールを塗布します。利点としては1日で処置が終了します。欠点としては化学薬品のため刺激による痛みが出たり、術後歯肉が白色となるため審美的に問題が生じます。やはり組織を摘出しませんので病理検査ができません。
				
				
術前
フェノールアルコール
術中
術後その他の鑑別を要する病気
- ・
 - アジソン病
 - ・
 - アルブライト症候群
 - ・
 - ポイツージェガース症候群
 - ・
 - 色素性母斑
 - ・
 - 悪性黒色腫
 - ・
 - 黒色表皮腫
 
					以上のように全身性疾患を伴うものや悪性腫瘍も含まれるため、鑑別診断が必要です。黒色病変がみられたら必ず口腔外科を受診してください。
				
			
